2007年06月28日

第12回環境史研究会の報告

前回の発表内容要旨をアップします.

青木 政幸((財)辰馬考古資料館)
「播磨における瓦塔の造立−三木市正法寺山・志染丘出土瓦塔を中心に−」
 本報告は三木市正法寺山,志染丘から出土した瓦塔についてである.
 資料の特徴として,1)正法寺山瓦塔の初層軸部と塔本内陣の仏,およびその同笵品,2)屋蓋部軒先端面の軒丸瓦表現,3)複数型式の垂木,を挙げられる.
 遺跡地はともに消滅したが,当時の関係者である高井悌三郎氏が調査報告(遺稿)を遺されていた.ただ,その考察部分と近年の研究成果とはやや方向性に違いがみられた.
 報告者は遺稿内容そして近年の研究状況を整理し,播磨を主とした西日本出土瓦塔と関東出土瓦塔の差異を確認し,今後の方向性についての見通しを述べた.


森山 宗保(守山市教育委員会)
「野洲川下流域平野,伊勢遺跡の立地環境の検討」
 滋賀県守山市,野洲川下流域平野に分布する伊勢遺跡の立地環境を埋没微地形分析を用いて検討した.研究方法は発掘調査データを地形図に落とし,10cm等高線図を重ね合わせる.地形起伏を確認するために小字図も用いた.その分析の結果,伊勢遺跡の大型建物群が谷と谷に挟まれた尾根上の高い場所に立地していることが判明した.
 今後,谷や高地の形成時期などを調査等で検討していく必要がある.


宮本 真二(滋賀県立琵琶湖博物館 研究部 環境史研究領域)
「アッサム・ヒマラヤにおける土地開発過程−インド,アルナチャール・プラデーシュ州の事例−」
ヒマラヤ地域の開発過程の地域的相違を明らかにするため,放牧を目的とした土地開発が行われたシッキム・ヒマラヤの成果を概観し,水田開発が行われたアッサム・ヒマラヤ地域の埋没腐植土層の形成時期について検討した. 
 1)木炭片と埋没腐植土層の形成要因
 シッキム・ヒマラヤでは放牧を目的とした森林の火入れによる開発は約3700年前以降に認められたが,アッサム・ヒマラヤの埋没腐植土層は約990年前と約340年前の年代が得られ,今回の地点の結果では若干新しい開発年代が想定できた.
 2)土地開発時期
 水田下の埋没株は約2000年前の年代であり,埋没腐植土層の年代よりも古い.シッキム.ヒマラヤでは埋没腐植土層の最も古い値は約3700年前であり,開発期間としては調和的であった. 


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